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南フランスセヴェンヌ山地を水源とするロワール渓谷周辺には140を超えるルネサンス様式の城館が点在しています。ロワーヌ川は、フランスで最も長い川で、全長1000㎞のうち200㎞の流域が世界遺産に登録されています。

ロワール渓谷はルネサンス期に貴族たちが競い合うように城館や庭園を築きました。当時のロワールは政治の中心地でした。アンボワーズ、ブロワ、モンソロー、オルレアン、トゥールといった歴史上の重要都市が点在し、美しい丘陵をブドウ畑が広がる風景は「フランスの庭」として世界的に有名です。

372年、ローマ帝国末期の頃、トゥールの司教マルティヌスがマルムティエ修道院を設立しました。そこで、キリスト教布教を始めるとロワール川流域の中世都市は発展しました。

10世紀以降、地方の貴族たちは、荘園を作り城を構えました。百年戦争が始まると、この地域は最前線となり、城壁が築かれました。

15世紀に戦争が終結すると、城壁は華麗な宮殿へと変貌を遂げました。1427年、シャルル7世がロワールのシノン城に宮廷を移し、ヴァロワ朝の歴代の王は、ロワール川流域に居城を構えるのが通例となりました。

そして、16世紀末までには王侯貴族たちは都会を離れ、優雅な暮らしを楽しむため、大小様々な城を築いていきました。

19世紀には、フランスの文豪バルザックが「谷間の百合」など多くの作品でこの地を舞台に書きました。またイギリス人の画家ターナーは繊細な色彩で渓谷の美しさを表現しました。

ロワール渓谷で訪れたい城

シノン城

1429年、ジャンヌ・ダルクが初めてシャルル7世に謁見した場所です。シャルル7世は玉座に偽物を座らせ、廷臣に変装していました。ジャンヌダルクは面識のなかった王に膝間づいた逸話が残っています。その時の大広間は現在残っていませんが、フランスの存亡の危機を救った砦のお城です。

ロッシュ城

1429年、オルレアンを開放に導いたジャンヌ・ダルクがシャルル7世の居城に駆け付け、フランスでの戴冠を進言しました。フランス国王公認の寵姫として知られる、アニエス・ソレルが滞在していたことでも有名です。

アンボワーズ城

1437年、シャルル7世統治下に王領となって以来、8人の王がこの城の城主となりました。なかでもフランソワ1世の時代に全盛期を迎えました。レオナルド・ダ・ヴィンチを招き、元々堅固な要塞だったお城の大改築を行い、王の居城にしました。会議の間で王はダヴィンチと毎晩のように語り合い多くを学んだといわれています。サン・テュベール礼拝堂には、レオナルド・ダ・ヴィンチのお墓があります。

シャンボール城

美女と野獣のモデルになったお城です。

イタリアのルネサンス文化に触れたフランソワ1世が、1519年に建築を始めたロワール最大級のお城です。もともと狩猟用の離宮として建てられた内部には、440の部屋と365の暖炉、14の階段があります。完成したのは1658年でルイ14世が治世していた頃でした。

お城を見上げると、形や大きさの違う塔が林立しています。これは282本ある暖炉の煙突を数本ずつまとめて塔の中に隠したものです。

見どころの一つにレオナルド・ダ・ヴィンチが考案したとされる2重の螺旋階段があります。それぞれの階段共に屋上まで登れます。

設計の事案を書いたのはレオナルド・ダ・ヴィンチといわれています。独創的な煙突が特徴で、フランス・ルネサンス様式の最高傑作と呼ばれています。

クロ・リュセ

イタリア・ルネサンスを代表する偉人レオナルド・ダ・ヴィンチが晩年を過ごした館です。ダ・ヴィンチの仕事部屋や、臨終を迎えたとされる寝室などがあります。

ブロワ城

1498年、シャルル12世の即位から約100年間、フランス王家の第一の城として栄華を極めました。歴代の王の手が加えられたゴシック、後期ゴシック(ルイ12世棟)、ルネサンス(フランソワ1世棟)、古典(ガストン・ドルレアン棟)と様式が異なる4棟が中庭を囲んでいます。

このお城では数々の事件が起こっています。1588年にフランソワ1世の命令で、ギーズ公が暗殺された部屋や、カトリーヌ・ド・メディシスが毒を保管した場所と思われているキャビネットのある「秘密の部屋」や、が残っています。

シュノンソー城

川に架かる優雅なお城です。はじめは小さなお城でしたが、やがて橋ができ、その上に回廊が築かれました。そうして、橋のように向こう岸に渡れるお城が完成しました。

カトリーヌ・メディシスの夫アンリ2世が愛妾に贈ったお城で、妻と妾が繰り広げた熾烈な確執の愛憎劇が繰り広げられました。広いディアーヌの庭と、カトリーヌの庭があります。歴代の城主が女性だったため、「6人の奥方の城」という別名があります。

19世紀末に実業家のムニエが買い取り、現在もその一族が所有しています。第1次世界大戦時には、自費で城全体を軍用病院として提供したこともあるそうです。

シューモン・シュル・ロワース城

アンリ2世の没後、正妻のカトリーヌが妾のディアーヌをシュノンソー城から追い出し、代わりに与えたお城です。

ユッセ城

16世紀初頭に建造されたお城です。文豪バルザックが「谷間の百合」でその美しさを賞賛しました。お城の1階では、19世紀の城主・ビヤンクール公爵の生活を当時の装飾で再現しています。

アゼール・リドー城

修道士が散歩の疲れを癒した場所といわれています。天井の交差アーチがロマネスク様式からゴシック様式の転換期を示しています。

ヴィランドリー城

美しい庭で知られているお城です。庭は階段状のテラスで水の庭園、花の庭園、菜園の3つに分かれています。

城内には水路が張り巡らされています。この水は地下水をくみ上げたものでした。地下水は冷たすぎるので池に貯めて水温を上げてから、花の庭園や菜園に流されました。

菜園は9つの正方形から成る幾何学模様の昔ながらの菜園です。美しいだけでなく、実用を兼ねて野菜や薬草、確実などを育てていました。

シュルヴェルニー城

1604年、シュルヴェルニー伯爵アンリ・ド・ユローが約30年の歳月をかけて建造しました。左右対称な姿が美しく、現在まで同族が管理し、装飾の細部まで保存されています。第2次世界大戦中に戦火を逃れるため名画「モナリザ」を保管していたことがあります。

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