【世界遺産】ラスコーの洞窟
近くで遊んでいた子供たちが洞窟を見つけ、大人が調査したところ発見された先史時代の遺跡です。
ラスコーの洞窟を含む25の洞窟と147カ所もの旧石器時代の遺跡が点在し、世界遺産に登録されています。
洞窟ができる過程
白亜紀やジュラ紀に海だった場所に生物の遺骸の成分が固まりできた石灰岩の地層が洞窟になります。石灰岩の中に水が溶け込み、岩の中に水が流れ、水の道ができ、次第に大きくなり空洞ができます。それが隆起し陸となり、洞窟となります。そして人々は洞窟の入り口や岩陰で生活をするようになりました。
主な見どころ
フォン=ドゥ=ゴーム
1901年に発見されました。狭い洞窟で奥にバイソンが描かれています。テクティフォルムと呼ばれる五角形の記号が描かれているのが特徴です。
ルフィニャック洞窟
一番大きな洞窟でトロッコに乗って見学ができます。絶滅したホラアナグマの爪痕が残っています。絶滅したマンモスが沢山描かれていて、大昔の壁画である証拠になっています。フォン=ドゥ=ゴームと同じような五角形のテクティフォルムもあります。
フォン=ドゥ=ゴーム、ルフィニャック洞窟、レ・コンバレル洞窟、ベルニファル洞窟の4つにテクティフォルムがあり、このあたりにいた民族グループの印ではという説があります。
洞窟の壁に絵を描いた理由(仮説)
文字がないため先史時代は考古学によって、こうだっただろうという仮説がいくつか挙げられます。
狩猟呪術説
100年前の古い説で狩猟を成功させるための呪術目的の壁画だったんじゃないかという仮説です。
危険動物を駆除するための呪術説
傷ついたライオンの壁画があります。馬や牛が描かれているのに何故かライオンには、槍が刺さり鼻血を出しているように見えます。そのことから危険動物を駆除しようとした呪術的な壁画ではないかという仮説です。
男女両性神話説
ウマは男性原理、バイソンは女性原理のように二元論で考えた説です。女性器や男性器がえがかれていることがあり、2つの性に基づく神話が当時からあったとする仮説です。
増殖のための呪術説
動物を描いて、獲物が増えて欲しいと願ったという仮説です。
トーテミズム
祖先がある動物だと考えて、その動物を崇拝する慣習。チームのシンボル的な結束力を示すようなものだっととする仮説です。
ラスコー洞窟は、1~4ある?!
ラスコー1(本物)
1940年に近隣の子供たちによって発見されました。人が居住した形跡がなく狩猟の成功を祈る呪術的な壁画ではないかとされています。バイソン、シカ、サイなど200点ほど描かれ、5.5mほど巨大な牛の絵があります。この牛はオーロックスといい、現在家畜として飼われている牛の祖先にあたります。1627年にポーランドで絶滅してしまいました。
1948年から一般公開されていましたが、訪問者の出入りによる劣化のため、1963年から研究者以外の立ち入りを禁止しています。
ラスコー2(再現)
本物の洞窟への立ち入りが禁止されてしまったために製作された、洞窟の2/3を再現したレプリカ洞窟です。
ラスコー3(再現)
ラスコーを見たいけど現地へ行けない人のために2015年から始まった世界中を回る巡回展のために制作されました。持ち運びOKの壁画です。
ラスコー4(再現)
モンティニャック・ラスコー国際洞窟壁画芸術センターのことです。ラスコー洞窟全体の複製を実現されました。全長150m、奥行き70m、高さ8m、8500㎡のレプリカ洞窟です。
フランスを中心とした先史時代の文化
オーリニャック文化
後期旧石器時代で最も古い文化です。動物の皮を縫って服やテントを作っていました。世界最古の女性像とされるホーレ=フェルスもこの時代とされています。
グラヴェット文化
女性像が多く製作されました。レスピュークのヴィーナス(1992年発券。パリの人類博物館蔵)が代表的です。
ソリュートレ文化
氷期の最寒冷期の文化です。。月桂樹の葉の形をした尖頭器や、柳の葉の形をした尖頭器は槍に使われました。動物の骨を削って穴を空けた針が出土し、動物の毛皮を縫い合わせていたことが分かっています。
マドレーヌ文化
旧石器時代末期の文化です。ヨーロッパ各地で描かれた洞窟壁画は、この文化に属しています
参考図書
ラスコーの洞窟の情報
地図