【世界遺産】アルベロベッロのトゥルッリ
世界遺産登録:1996年
長靴形のイタリア半島の “かかと” にあたるプーリア地方に、アルベロベッロは位置しています。
白い漆喰の壁に、灰色の円錐形屋根を載せた石造りの家々は「トゥルッリ」と呼ばれ、地元で採れる石灰岩(キアンカレッレ)を積み上げて作られています。屋根は石を少しずつ傾斜させながら積み上げたもので、漆喰などの接着剤を一切使わない技法が特徴です。
真上から見ると、屋根のてっぺんに白い蓋のようなものは、ピナーコロという屋根飾りで、様々な形をしています。これは、屋根職人が署名代わりに付けたマークだったとされる説と、原始の太陽崇拝にルーツがあるという説等があります。
また、屋根には白いシンボルが描かれています。家族を悪魔の目から守る魔除け、あるいは豊作を願う御守り等と考えられてきました。
トゥルッリの形
トゥルッリの形は様々です。最も基本的な構造は、石壁で囲まれた部屋に円錐形の屋根を一つのせたもので、これをトゥルッロ(単数)といいます。そして、トゥルッロを幾つか繋げたものをトゥルッリ(複数)といいます。
Trullo Siamese
屋根同士が2つくっついたユーモラスな双子トゥルッリ
大小15ものとんがり屋根が繋がった大きなトゥルッリや、単一構造のトゥルッロなど多様です。
トゥルッリ内部の特徴
内部は開口部が少ないく外光が少ないものの、白く塗られた壁のおかげで明るく、真真夏の40℃を超える日でも室温は18℃ほど。クーラーいらずの構造です。
トゥルッリの暮らしの機能
屋根裏の貯蔵庫
内部は開口部が少ないく外光が少ないものの、白く塗られた壁のおかげで明るく、真真夏の40℃を超える日でも室温は18℃ほど。クーラーいらずの構造です。
雨水を集める “屋根の秘密”
屋根は傾斜を利用して雨水を効率よく集める設計になっています。 雨どいから地下の貯水槽へ水が溜まる仕組みで、雨が少ない土地ならではの工夫があります。
牛舎としての利用
農作業の傍ら、牛舎としても使われ、と夏は涼しく冬は暖かいため、子牛がよく育ち、丸々と太ると言われています。
トゥルッリの歴史
16世紀初頭、人々の定住が初めて記録された頃、この地域はナポリ王国の支配下にありました。新しい町を作るには王の許可が必要で、領主は税を納めなければなりませんでした。
ところが、領主アクアヴィーヴァ伯爵は税を逃れるため、王の許可なく町を興します。 そして入植した約40世帯の農民たちには、「すぐに解体できる、接着剤を使わない家のみ建築を許可」し、“抜き打ち検査があれば崩せる家”が作られました。
アルベロベッロの土地は石灰岩だらけ。開墾で出た石を積み上げた構造物がスペッキアで、この地域で採れる平たい石灰岩キアンカレッレを積んだだけの簡易の家屋が誕生します。 これがトゥルッリの原型でした。
町の周囲には、農民が開墾した畑が広がり、オリーブ・ブドウ・アーモンドなど、わずかな作物を頼りに生活していました。
トゥルッリが密集する2つの地域
アイア・ピッコラ地区(Aia Piccola)
アイア・ピッコラ地区の名は、プーリア地方の言葉で「脱穀場」を意味する“アイア”に由来します。かつて農民たちが穀物を乾燥させたり家畜で脱穀したりした小さな作業場が点在していたことから、「小さな脱穀場のある地域」という名がつきました。今もその歴史を映す素朴な街並みが残り、農村集落として育まれた独特の雰囲気を感じられる地区です。
590軒ほどのトゥルッリが密集しているものの、観光地化の度合いは控えめで、住民が実際に暮らす姿が垣間見える貴重なエリアです。道幅が狭く、迷路のような細道が続き、通り沿いには植木鉢や香草が並び、「アルベロベッロで最もフォトジェニックな生活風景」と称されることもあります。
入り組んだ石畳の路地、窓辺に花を飾る住民の家、洗濯物が風に揺れる光景など、“暮らす人の日常” がそのまま風景になっています。
主な特徴:住居が多く静かで生活風景が見られる。お店の数が少なめ。
モンティ地区(Rione Monti)
モンティ地区の名は、イタリア語で「丘」を意味する “Monti(モンティ)” に由来します。起伏のある小高い地形に広がるこの地区は、古くから農民の居住地として形成され、小さな家々や細い路地が迷路のように連なるのが特徴。丘陵地ならではの眺望と、素朴で静かな生活文化が色濃く残る、温かな雰囲気に包まれた地域です。
主な特徴:観光地化され、お店の数が多い。映えスポットが多い。
サン・アントニオ教会
煉瓦など新しい建材を使っていますが、トゥルッリ様式を受け継いだ外観。
トゥルッロ・ソヴラーノ(Trullo Sovrano)
18世紀に裕福な地主の住宅として建てられ、唯一の二階建てトゥルッリ。
トゥルッリの修復作業
トゥルッリの修復は現在もすべて手作業。設計図はなく、職人の経験と勘だけが頼りです。伝統工法で積まれた円錐屋根は、接着剤を使わなくても崩れない強度があります。
トゥルッリの形の起源
起源には諸説あります。その一つが「中近東やバルカン半島の建築様式が地中海を渡って伝わった」というもの。世界には似た石積み建築がいくつか残っています。
イタリアのサルデーニャ島:ヌラーゲ
先史時代から存在する石造りの塔状建築。住居や防衛、集会所として使われ、現在も島内に約7,000基が残る歴史的建造物。
アイルランドの絶海の孤島、スケリグ・ヴィヒール
―切り立つ断崖に石のドーム状住居が残り、12世紀頃まで修道士の祈りの場として使われていました。
石しかない土地で、人々が工夫しながら生み出した、機能的で美しい住居。それがトゥルッリです。
アルベロベッロのトゥルッリへのアクセス
イタリア国内の空港(バーリ空港またはブリンディジ空港)を目指し、次に電車やバスを乗り継いでアクセスします。日本からは直行便がないため、ローマなどを経由し、バーリまで国内線で移動してから、私鉄(SUD-EST線)でアルベロベッロに向かいます
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