700万年の間に20種類以上もの人類が現れ、絶滅してきました。そのなかで残ったのはホモ=サピエンスという1種類だけです。地球上に存在している全ての人がホモ=サピエンスです。

人類が進化をしてきた過程で起きたのはDNAの突然変異という現象です。この突然変異により、親と違った特徴をもつ子が生まれます。これが進化に繋がっていきます。そして、チンパンジーとボノボ(アフリカ中央部に生息)の祖先が、ヒトの祖先と枝分かれしました。

旧石器時代

考古学によって解明される歴史を先史時代と言います。その時代に人類は猿人、原人、旧人、新人の順に進化していきました。
*日本以外の国では、猿人~新人というような分け方は特にされていないそうです。

猿人

人類の特長は「直立二足歩行」をしていることです。その人類が誕生したのは、約700万年前とされています。その最初の人類を猿人といい、南アフリカで発見されたアウストラロピテクスが有名です。

初期猿人

類化石のうち最も時代が古いのは、2001年にアフリカのチャドにあるジュラブ砂漠で発見されたサヘラントロプス・チャデンシス(トゥーマイ猿人)です。約700万年前の化石で、チンパンジーとの共通祖先から枝分かれした直後の初期猿人です。背骨の上に垂直に頭が乗っていたことが分かっており、直立二足歩行をしていたと考えられています。まだ土踏まずはありませんでした。

ラミダス猿人

1992年12月、東京大学の諏訪元が、エチオピアのアファール盆地の一角にある440万年前の地層からラミダス猿人の上顎部臼歯の化石を発見しました。ほぼ完全な骨格が出土しています。直立二足歩行で移動し、男性が女性に求愛するために食べ物を渡していたため、子孫が増えたと考える説をオーヴェイ・ラブジョイ博士が提唱し、「食物供給仮設」といいます。

アウストラロピテクス(土踏まずあり)

1974年、ドナルド・ジョハンソン博士がエチオピアのハダールで発見しました。バックグラウンドミュージックにビートルズの「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイヤモンズ」がかかっていた。これにちなんで「ルーシー」と名付けられました。二足歩行をし、木登りも得意だったと考えられています。上野国立博物館に復元モデルが展示されています。

2000年12月、エチオピアで発見された3歳くらいの女児の全身化石が発見されました。ルーシーとは10万年以上も年代がずれているため、親子ではありませんが「ルーシーの赤ちゃん(セラム)」という愛称があります。

原人(ホモ・ハビルス / ホモ・エレクトス)

240万年前には、原人へと進化を遂げ、ジャワ原人(インドネシア)や北京原人(中国)の化石が発見されました。炉の跡が発見されており、火や言語の使用が開始されました。北京原人がアジア人の祖先とする説がありましたが、2021年現在ミトコンドリアDNAの系統解析により否定されています。また、何等かの理由で絶滅したと考えられていますが、まだ分かっていません。

既に死んでいる動物を食べる「腐肉食動物(スカベンジャー)」から、道具や武器、火を使い大型動物をも狩るハンターへと進化を遂げました。

トゥルカナ・ボーイ(150万年前~160万年前)

1984年、ケニアのトゥルカナ湖西岸にあるナリオコトメ川の土手から、化石ハンターのカモヤ・キメウと古人類学者が草のリチャード・リーキーによって発見されました。この化石は、9歳~12歳の少年で身長は160㎝ほどと推測されています。上野国立博物館で生体復元が展示されています。

旧人

約60万年前には、旧人へと進化しました。ヨーロッパ・ドイツで発見されたネアンデルタール人が代表的です。死者の埋葬をし、その周りには花粉が発見され、花を手向けた跡が残っています。

ネアンデルタール人

最初に発見されたのは、1829年のベルギーのアンジスでした。住処は洞窟や岩陰で、石器を使用していたり、火を炊いた炉の跡が発見されています。埋葬については諸説ありますが、石灰岩洞窟を石器を用いて掘り埋めるには労力が必要で、わざわざ掘って遺体を埋めていることから、死に対して何等かの感情を持っていたと考えられています。

イラクのシャニダール洞窟で発見された化石の中に長い間、片目や片腕がなく障害を持ちながら生活していたことが判明しました。つまり、生涯者を介護しながら共に生きていたことが分かっています。

ネアンデルタール人は、4万年前ごろに絶滅しているが、DNAに2%含まれているという研究報告があります。絶滅した人類のなかで現代人にもっとも近いと考えられています。ホモ・サピエンスと共存していた時期があり、絶滅してしまった理由は不明です。

ミトコンドリアDNA

父親から受け継ぐミトコンドリアは受精する際に分解されてしまいます。母親のミトコンドリアは母親由来のものだけが分かります。つまり、母親の系譜をたどり先祖を知ることができます。

新人

約20万年前から、今を生きる人類と同じといわれる新人へ進化を遂げます。ヨーロッパで発見されたクロマニヨン人が代表的です。

クロマニヨン人

ヨーロッパに鉄道を敷く工事を行っていた時代の1868年に、レゼジー駅の周辺を整備している時に見つかった。定住せずに狩猟採集生活をしていました。高い芸術性をもち、洞穴美術を残していて、フランスのラスコーやスペインのアルタミラが有名です。さらに楽器も作られていて鳥や動物の骨で作った横笛などが発見されています。道具に細石器や骨角器を用いました。

猿人から新人まで打製石器(石を打ち砕いたりしたもの)を用い、狩猟・採集生活を営んでいた時代を旧石器時代といいます。

【世界遺産】ラスコーの壁画

フランスの西南部ドルドーニュ県、ヴェゼール渓谷のモンティニャックの南東の丘の上に位置する洞窟です。後期旧石器時代のクロマニョン人が描いた美術作品として有名です。

猿と人間の違い
直立二足歩行

猿と人間の大きな違いは知能です。人間の悩の容量はチンパンジーの3倍以上です。直立二足歩行している人間は、地面に対して垂直である背骨が、重い頭を支えています。地面に対し水平な背骨を持つ猿は、頭の重みを首で支えているため大きな悩を持つことができません。

また、人間は直立二足歩行により、ノドの奥の空間が広がり、複雑な発音に適した構造が備わっています。そのため言葉を使い高いコミュニケーション能力を有しています。

ちなみにゴリラ等に見られる拳を地面につけ四つん這いに歩く姿を「ナックルウォーキング」、テナガザルなどに見られる木の上での移動方法を「ブラキエーション」といいます。

足の裏

偏平足な足裏をもつ猿は長距離移動には向いていません。土踏まずのある人間は、長い距離を歩いても疲れにくいという特徴があります。そのため、生息域が広がり、類人猿の骨が各地で見つかっています。

道具作り

チンパンジーも人間も道具を作ることができます。ただし、人間は道具を作るための道具を作ることができます。また、チンパンジーも絵を描くことはできます。しかし、人間は絵を花、木、空など具体的なものに例えようと思考します。

新石器時代

約1万年前に氷河期が終わり地球は温暖化し、自然環境が大きく変わりました。磨製石器が用いられるようになり、狩猟・採集の獲得経済から、農耕・牧畜の生産経済へ変化しました。

代表的な遺跡として、ジャルモ遺跡(イラク)、イェルモ遺跡(ヨルダン)などがあります。農耕のはじめは雨水に頼る乾地農法や、土地の養分を使い切って草もはえなくなったら別の土地へ移る略奪農法をしていました。

そして都市国家が成立し、水のある所から水のない所に水を引く灌漑農業が開始され、大規模工事によりリーダーが出現し、権力や富が集中するようになり、階級や神が生まれました。そうして神殿を中心とした都市国家が成立し、文明が誕生しました。

四大文明である、インダス文明、黄河文明、メソポタミア文明、エジプト文明は川沿いに建設されているのは、灌漑農業と関連しているといえます。金属器(青銅器)や文字(政治や商業の記録)が発明され、先史時代から歴史時代へ動いていきました。

参考&引用図書

面白くて眠れなくなる人類進化(左巻健男)〈PHP〉

ラスコーの洞窟 (絵本地球ライブラリー)〈小峰書店〉

なんで洞窟に壁画を描いたの?〈新泉社〉

ドラえもん 科学ワールド 人類進化の不思議〈小学館〉

学研まんが new世界の歴史①

  • メソポタミア文明